試聴と改良


さていよいよ試聴だ。スピーカまで買い換えたので、アンプだけの評価はできなくなってしまった。しかし結論から言えば、今までのシステムよりは音楽のジャンルを超えて、大幅にクオリティ・アップであった。

●スピーカを買うときには同価格帯の物を2-3機種聴き比べてみた。私はクラシックの弦がうるさくない物が好きである。ヤマハの NS-1 なんかもなかなか良かったけど、DM-602S2 の方が箱が大きい分、低音にゆとりがあったのでこっちに決めた。店員は、「オールマイティですが、個性に欠けるところがあります。」とコメントしてくれたが、まあ確かにそうかも。

●家に持ち込み、色々聞いてみる。最初は高音がマイルドすぎるように聞こえたが、これは CD の録音状態によるようで、差をはっきり出してくるようだ。

●ヴァイオリンの弦をこする感じや炸裂するようなトランペットの再現も見事。それでいて耳ざわりでない。このあたりはスピーカもさることながら、KT-88 の特徴として言われている「高音域に華やかさがある」のも関係しているのだろう。

●十何年ぶりの買い換えなので「とにかくすごい」。低音から高音まで、再生範囲が広いばかりでなく、その間がとてもフラットなことがよく分かる。数値的にも今のスピーカーって「何ヘルツ〜何ヘルツ」だけじゃなく、「その間プラスマイナス何デシベル」って書くのね (笑)。

●低音から高音までフラットなためか、クラシックのホールの広さのような、奥行きの再生は少々苦手かも知れない。むしろジャズやポピュラー系が得意かも。

●このスピーカ、低音用ユニットは18cmなのだが、低音がたっぷり出る感じ。壁から40cm 程度離し、床から10cm 程度浮かして聞いている。店の人は「スタンドに置くと低音が引き締まって良いですよ。」と言っていたが、スタンドは値段が高すぎる。試しに木のイスに乗せてみたが、私の好みでは低音が物足りなくなった。壁から充分に離すことでバランスは良くなったようだ。

●少々問題なのはプリ、メイン両方をコンセントのところでアースにつなぐと (両方3Pプラグが付いてきた) ハム (ブーンという音) が出ること。プリアンプの電源を切っても出る。プリアンプとパワーアンプの接続コードをはずすと止まる。アースループが原因だ。アースループはそれを貫くような交流磁界があると、アースラインに電流が流れてノイズになる。そこで、せっかくなので交流磁界退治をしてみた。

●信号ラインのそばを流れる交流、真空管の場合ヒーターに交流が流れている。まずこの取り回しを少々変更。さらに、少々無茶な取り回しになっているプリント基板のアースパターンをブチブチに切り、信号の流れに沿って配線し直す。少々わかりにくいが写真の、太い銅線や黒いコードで配線してあるの、が改良したアース。

●これでバッチリ!! 一発でノイズはほぼ消えた。なお、これは 情熱の真空管 の私のアンプ設計マニュアルによるところが多い。作者のぺるけさんに感謝。また書籍として 岡村廸夫著「解析ノイズ・メカニズム」CQ出版社 も参考にした。

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