2005年09月05日 先物取引/FX のしくみ その2 (反対売買)

ガソリンの値段は落ち着くどころかますます上昇していますね。ニュースでも盛んに「ガソリンの先物価格が○○ドルを突破」とか言っていて、先物という言葉をよく耳にするようになりました。

さて、先物取り引きのしくみ その1 では基本的な考え方を示し、ガソリンを35リットル買うのに、3ヶ月前に約束することで ¥560 得するという例を図示しました。

でもこれでは投資するお金も、得するお金もごくわずかです。たくさん儲ける (損もしますが) ためにはたくさんガソリンを買わなくてはいけません。前回の値段をそのまま使ってみれば、買う量が 1,000リットルになれば

約束した日: 102円×1,000リットル = 102,000円
手にする日: 118円×1,000リットル = 118,000円
差額: 118,000 - 102,000 = 16,000 円

ん〜、なかな良い儲けです。
が、しかし、1,000リットルのガソリンをどこに置くんだ!!

大丈夫です。自分でもらう代わりに誰かに売れば良いのです。(ガソリンはどこにでも買いたい人がいます。) 期日が来たらその日の価格 (現物価格) で売り、ガソリンの代わりに売却代金を受け取れば、図のように ¥102,000 が 3か月後に ¥118,000 に増えた。ということになります。これが反対売買です。

以下の点に注意

(1) 逆に一定期間後に値下がりした場合、既に高いお金を払っていますから「損する」ことになります。この例の値動きを逆にしてみれば、¥118,000 払って3か月待ち、売ったら ¥102,000 にしかならなかった。ということもあり得ます。

(2) 前回も書いたことですが、価格の上下はある程度予想できます。したがって先物価格は基本的に受け渡し日の現物価格を見込んでそれに近づくように値動きするはずです (約束する日の現物価格と同じ価格ではない) 。ということは先物価格と受け渡し日の現物価格は極端に離れることがない、ということになり、儲けも損もあまり大きくならないと言えます。

(3) 先物取り引きの対象の多くは天然資源です。これらは天候や産出量で値段が変わりますが、実体があり、その利用価値が広く認められている物です(ガソリンは言うまでもなく、金は宝飾品や電子部品に、プラチナは自動車や歯科医に、小豆は和菓子作りにと使われます) 。これは株式等の形のない「権利」に比べて価格の変動範囲が限られるという特徴があります。

(2), (3) を良く理解してください。
つまり今回の話だけでは先物取り引きで大きく儲ける (損する) ことは難しいということになりますね。しかし先物取り引きは、リスクが大きく、初心者が勉強せずにやってはいけなくて、ときには大きな損失を被ることがある、と言われています。

それは次回「差金決済と証拠金」で。

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